”システムトレード”とは、FXなどの投資を行う際に、自分の判断での売買を行わず、コンピュータなどのシステムに売買の判断をさせる手法で、そのシステムを自動売買システム=EA(Expert Advisor)と言います。
現在では様々な業者が低価格でシステムを販売しており、MT4(メタトレーダー)などを使うことによって誰もが簡単にシステムトレードをすることができます。
システムトレードにメンタルは不要?
僕は別の記事で”裁量トレード”で勝てない理由は心理(メンタル)的要因にある”と書きました。
これは、”FXで売買の判断をする際にはメンタル的要因が邪魔をするので、よっぽど強いメンタルを持たない限り裁量トレードで勝つことはできない”という意味ですが、こう聞くと、普通の人は、
「メンタルが邪魔をするなら、売買をシステムに任せたらいいじゃないか”」
思うのではないでしょうか?
僕もその一人で、安易な考えからMT4を使ったシステムトレードを始めたのですが、安易な夢は一瞬で打ち砕かれました。
結論を言えば、
システムトレードにもメンタル的要因が大きく関係してくる
ので、やはり並のメンタルではシステムトレードで勝つことはできないのです。
シストレで勝つために必要な能力とは?
①システム(EA)を信じきれるメンタル
システムトレードで勝ち続けるために必要な能力、それは
システム(EA)を信じきれるメンタル
です。
例えば、あなたが数万円で
システム名”ナンピンマスター”
という自動売買システム(EA)を手に入れたとします。
そして、そのEA”ナンピンマスター”を稼働させたところ、数か月でこのような成績になってしまいました…。
導入以降、1勝5敗…。
僕であれば、「このEAホントに大丈夫なの??」と不信感を募らせていると思います。
そのEA”ナンピンマスター”が、今度は以下のような鬼のような連続ナンピン買いを始めたらどうでしょうか…。
あなたは最後まで”ナンピンマスター”を信じきることができるでしょうか??
含み損がどんどん増え続ける中、普通はなかなかシステムを信じきれませんよね…。
この後、”ナンピンマスター”を信じぬいた結果、下降トレンドは一気に上昇に転じ、大きな勝利を収めることができました…。
そして、”ナンピンマスター”はその名の通り、最終的に大きな利益を残し、損益合計もプラスに転じ始めたのでした。
めでたしめでたし…。
今回は、極端なEAの例をご紹介しましたが、僕が運用してきたEAの中にも、この例のようなEAはいくつかありました。
ただ、EAの中には成績が回復することなく、大きな損失を計上したまま使用を止めたEAもたくさんありました・・・。
EAを信じることは大事ですが、間違ったEAを信じて稼働し続けたら大変なことになりますよね…。
つまり…
システムトレードで勝つには、
有能なEAを見極め、かつ、信じ抜く能力が必要となってくるのです。
これは、裁量トレード並みに難しい能力であり、とてもストレスのかかることだと思います。
嫌味な言い方ですが、僕は他人の作った”仕組みも分からない”システムをどうしても信じ抜くことができなかったので、自分でEAを作ることにしました。
②適切なポートフォリオを組む能力
システムトレードで勝ち続けるために必要な能力、その二つ目は
バランスの良いポートフォリオを組む能力
です。
”ポートフォリオを組む”とは、様々な特性のEAをバランスよく合わせて運用することです。
お金の相場には、
・通貨量(ボラティリティ)の多い時期や少ない時期
・値動き幅が大きい時期や少ない時期
などがあり、EAひとつで全ての局面をカバーすることはほぼ不可能に近いと思います。
例えば、下のチャートは僕が過去に作成して販売しているEAの実際の成績ですが、右肩上がりの局面もあれば、停滞期があることが分かります。
僕のEAは単純に能力が低いだけかもしれませんが、どんなに優秀なEAでも必ず停滞期や後退期はあると思います。
ですので、システムトレードで長期的にバランスよく勝つには複数のEAの特徴を理解した上で、お互いの得意、不得意な部分を補えるポートフォリオ(※EAのチームみたいなもんですね)を組んで運用する必要が出てくるのです。
つまり・・・
システムトレードで勝つには、
長期的なEAの特性を理解し、組み合わせる能力
が必要なのですが、これには高い経験値が必要となるので、素人がシステムトレードで簡単に勝つことは困難だと思います。
EAを選ぶ上での注意点
①成績の良いEAを作ることは簡単
これは先ほど紹介した、僕のEA”NALU”のバックテスト(5年間)ですが、見事にカーブフィッティングが効いてますね…(;’∀’)
つまり、EAを選ぶ上でバックテストはほとんどあてにならない!ということです。
②EAには得意不得意な相場がある
先ほども説明した通り、お金の相場には様々な局面があるので、全ての局面を一つのEAで補うのはほぼ不可能かと思います。
※今後は人工知能(AI)などを使った優秀なEAが登場するかもしれませんが・・・。
つまり、バックテストや実戦での成績がいくら右肩上がりでも、いつ業績が下落に転じるかは分からないのです。
特にありがちなのが、”50連勝中!1年間負けなし!”みたいな実績のEAを購入した途端、負けだす…。というパターンですが、これも、そのEAが停滞期もしくは後退期に入っただけのことですので、詐欺でもなんでもありません。
つまり、EAを購入する際は”ずっと右肩上がりのEA”などと思わず”下落期”や”停滞期”も想定した上で判断する必要があるのです。
まとめ:FXのシステムトレードで勝てない理由は心理的(メンタル)要因にあり?
いかがでしたか?
僕は約6年前からEAを自作し始め、市販EAも併せて運用してきましたが、現在はシステムトレードを行っていません。
それは、他の手法に比べても多くのストレスがかかる手法だと思ったからです。
理由はこれまで述べてきた通りですが、僕にとっては、中身もよく分からないようなシステムに貴重な資金を預けることが、裁量トレード以上にストレスだったのです。
現在、僕はスワップポイント運用を合わせてコツコツと小さい利益を残していますが、FXでは9割以上が負ける厳しい世界ですので、新規参入者はまず、長期的に負けないことを目標に頑張ってください。